【中小企業かごしま11月号】中小企業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の活用
(中小企業かごしま 11月号より)
知って得する「DX」〜 助けてもらう、代行してもらう
話題のDX(デジタルトランスフォーメーション)が、どう経営に役に立つのかを4回シリーズで、お伝えする3回目は、業務の支援と自動化について考えてみます。
ちょっと前までのIT化と言うと、パッケージをカスタマイズするとか、ERPとかが推奨されていて、結構な初期費用がかかり、導入後は固定資産で減価償却するというのが常識でしたが、society4.0と5.0が推進されたここ10年間で、クラウド活用が軸となり、業界や特定業務の機能に特化したアプリが多く登場し、RPAやAIなどの自動化も進んできました。
これによって、個々の業務内容に即したクラウドシステムを何種類も契約、データを連携するための転記入力やCSV連携の処理の負担が大きくなりお困りの方も増えています。この解決策として有効なのが、データの自動連携機能です。
自動連携と言っても、
- ? 何の確認も不要でスルッと登録して良いもの
- ? 出張経費精算などのように、人の目によるチェックや、勘定科目選択などを経て、パパっと登録したいもの
- ? 取引先のデータなど他社との連携のように、内容次第で異なる取扱い設定が必要なもの
などがあります。
やり方としては、
- A) RPA(※1)で手順設定する自動登録
- B) CSV(Excelのようなもの)にダウンロードしたデータを手動でアップロード取込み設定
- C) AIを活用、シーンに沿った作業提案や支援や例外対応など、柔軟な連携を実現
- D) 中小企業共通EDI対応のシステムを使うことで他社と連携をしたり、異なるシステムでも連携設定がなされるものを組み合わせたりと、システムの選定によって繋ぐものなどがあります。
クラウドやRPAも多種契約すると、かなりの出費になることにも注意しつつ、自社の状況に合わせて、どんな活用をするか選びましょう。
また、前述?の例のように、DXを業務の支援に使うこともできます。
中小規模事業者さまは、属人的能力に頼った業務が多く、人手不足や人材教育でお悩みの方も多いかと思います。
そこで、教育時間の短縮や未習熟者の業務品質向上にDXを活用した事例もいくつかご紹介したいと思います。
(1) 若い女性従業員の多い小規模建設業
大学と共同で、ものづくり補助金や市のDX推進補助金などを利用。現場でスマホをかざしたら、不備や危険個所の指摘と、専門用語の解説が出てきたり、完成時の画像と重ねて確認できたり、遠隔から現場を確認することができるアプリを開発。
(2) 一本釣り漁船の水産業
マッチングサイト経由で出会ったベンチャーと共同で、IOT機器で収集した、その時の気象や海の情報などから、熟練漁師さんの判断を学習したAIが、種々の助言提案を行って、漁師さんの判断を支援。
(3) 書類作成の多い介護施設
業務フローをアプリ化し、実施事項をタップ&プルダウンや数値、音声の入力で、システムへの登録や報告書、引き継ぎ情報を自動作成することで、新人でもミスなく迷いなく業務を遂行。
皆さんのいろんな「困った」を解決へ導く手段のひとつとして、DX活用を積極的に検討してみませんか?専門家への無料相談を含む、導入時の補助策も有効活用してくださいね!
次回は、最終回となります。
(※1RPAとは、転記など人が行うルーティーン業務をPCでの処理手順を事前登録して自動処理する仕組み・アプリのこと)
(次回は2月号に掲載)
一般社団法人AI・IoT 普及推進協会九州支部支部長
荒添 美穂