規則やルールが守られない理由【2】
規則やルールが守られない理由【1】では、ルールに寛容な日本の風土について書きました。
ルールが守られなかったとき、
◆ 守らなかった“ひと”に問題がある
◆ 厳しさが足りなかった
ということになりがちですが、
実は、守られにくいルールというものがあるのでございます。
A.相反するルールが存在する
B.とにかく分厚いルールブック
C.理想を追求(現実と乖離)したルール
D.何かが起きるたびに、ただ作り足したルール
こういったものは、守られにくいルールと言えるでしょう。
厳格性と分厚さがルールの価値であるかのような誤解は、どうか払拭して頂きたいと思います。
A.相反するルール が存在するなんてあり得ないと思われるかもしれませんが、これが、結構あったりいたします。
例えば、
営業さんの業務に関する、会社の求めを事例にあげますと会社からの営業教育において 顧客の担当カルテをつくり、
- 家族構成
- 出身地、出身校
- 支持政党や好きなアーティスト
- 趣味(ゴルフ、釣りなど)
- 尊敬するひと、影響する人物
- 今最も欲しい、または、興味のあること
などを管理して、仲良くなりましょう!なんて推進をしながら、
他方のルールでは、
- 個人情報の不正取得は厳禁
(必ず、本人の同意を得てから)
と言われると、どうしたら良いのかわからないでしょう。
いえ、おそらくは、営業として賞賛される方・・・売上が上がりそうな方を選択するに違いありません。
個人情報の不正取得の禁止についてのルールがあって、それが建前であることもわかっている・・・
でも、ビジネス交渉を業務とする方は、 交渉相手の情報を集めて説得?準備をしなければ、業務はうまくいかない!
『あなたと交渉するために、 あなたの個人情報を取得することに同意をお願いします』
なんてサインをいただくわけにもいかないし、どうしたら?!
なんてご相談は、よくあることです。
こうなる大きな要因は、D.何かが起きるたびに、 ただ作り足したルールにあったり、 担当の縦割りがきっぱりしすぎていて、ルール同志の整合性が考えられていないことのように思います。
また、B.とにかく分厚いルールブック も守られにくいようです。
毎日の業務の中では、ルールや規程を見ながら行動することはないですから、監査に入った時などは、暗記できないほど、 あまりに詳細で分厚いルールブックが立ち並んでいますと・・・・
『かざり(守られていない&神棚ルール)かも』 と疑ってしまいます。
ルールは、厳格性と分厚さをありがたくおまつりするより、
シンプルで浸透しやすいもの
実務に即したもの
例外処理とレベル別判断という“遊び”と、
例外の承認と分析という“点検”が、
実効性確保のポイントでしょう。
ルール万全のハズの大企業さんのシステムトラブルも頻発していますよね。
データセンターの管理サーバーの認証機能期限切れ→搭乗手続き不能という、 『え〜、そんなことで?』と驚かされた ANAシステム障害(9月14日)
カタカナのデータを漢字で登録して停止した、三菱東京UFJ銀行のセブン銀行ATM停止
担当者が誤って電算センターの電源切断したための福岡銀行全ATM停止
みんな、ルールは整備された上での 担当者の人為的初歩的ミスです。
でも、果たして担当者の人為的初歩的ミスだけが原因でしょうか?
担当者の人為的初歩的ミスを誘発する ルールになってはいなかったでしょうか?
- ルールは守れる、覚えておけるものでなくてはいけない
- ルール
- ルールを守られなかったことを検出する仕組みと、
- 守られない原因を検討して改善する仕組みが必要である
それでも、ヒューマンエラーはゼロにはなりません。
ひとには、体調が悪かったり、 気がかりなことがあったり、ムラがあるものですから!
皆様のところには、ルールを追加するだけではない、 ルールが守られない原因を検討して改善する仕組み はあるでしょうか?