暗黙知と形式知 信頼とルール
戦略のキーワードとして、常に見えかくれしているのが、「知」でしょう。
このときの「知」という言葉は、
- アイディアを産み出す基盤
- 知識や理解力
- 優れた技術や経験
- 他人の「知」を吸収する能力
といったことでございます。
さて、以前、
日本で尊ばれる「あ・うんの呼吸」 についての講話をお聞きしたとき、こころから、感服し感動したという記事を書きました。
これをお話くださった講師が、カナダの方だったことも、驚きと感動を倍増させました。
※話題外メモ
もし現在、何かの理由で『○○なんだし、この人にはできっこない!』という周りの目に 悩んでいる方がおられたら、
それは逆に、「○○なのに、なんてスゴイんでしょう!」という 大きな評価を得る可能性でもあることを糧に、頑張ってみて頂きたいなあと思います。
話を「あ・うんの呼吸」に戻しますと、 お話くださったのは、カナダ出身の長崎総合科学大学教授、ブライアン・バークガフニ氏でした。
ヨーロッパ、インド等を経て来日、10年近く、臨済宗の雲水としてお寺で修行をされたという、 東洋思想や比較文化を専門とされる方で、ユーモアも交えたすばらしい講話でした。
このバークガフニ氏がお寺で修行中のお話
ある日彼は、奥の離れから、お師匠様に「おい!」と呼ばれます。
- ・走って行って、用事を承ろうとした彼は、叱られます
- ・彼のあとから来た兄弟子は、脚立を持っていました
呼ばれただけで、お師匠様は、脚立が欲しいのだと理解する以心伝心を 目の当たりにして異文化カナダで育った彼も、 「あ・うんの呼吸」という言葉を理解したのでした。
古来より日本では、こういうことや間柄を尊んできました。
『これってあれだよね!』と言うと、『そうそう、あれあれ!』なんて会話や、 すっとお茶が出てくるなんてシーンもよくあります。
誰だって、家庭で、会社で、 そんなふう理解しあえる関係があればいいなあと思いますよね。
でも誰かとこんなふうに理解しあうのは、難しいことです。
相手が今しようとしていることを見、感じ、状況を予測して、求めるものを推察する そんなことが必要でしょう。
つまり、関心と予測と思いやりがポイントなんですね。
そんな文化を持っている日本人って、 言わなくてもわかる「暗黙知」が、気持ち良いのでしょう。
- いつもの業務を、目線や空気で読み取って、分かり合って黙々とこなす!!!
- バレーやバスケの試合では、サインを交わしていなくても、息遣いや足音だけで、
「あ、こんなことやろうとしてるな」なんてことで、コンビばっちり♪決まったりする!!
すばらしいですね〜♪
ただ、暗黙知が活きるには、条件があります。
1.常識の業務の範囲内、練習という経験内のこと
2.いつもの、よく知るメンバー内であること
です。
企業も創業期などには、1.2.の条件がそろっていることが多く、 暗黙知共有が最大の業務遂行の武器となります。
ただし、企業が成長し、
組織が大きくなったり、
よく知らないひとや企業とコラボしたり、
新規事業展開などで、これまでと違う商品や市場に向かうなど
この条件から外れてくると、「暗黙知」ではやっていけません。
「「形式知」 と呼ばれる「知」が必需となるのです。
標準化され、文書化され、周知され、共有された「知」です。
品質のゆらぎを無くし、誰がやっても品質を安定させるためには、大変重要なものです。
弊社でも、新人さんが2名います。
仕事への姿勢も業務手順も「形式知」としておかなければ、まわりません。 でも、これは次第に習慣化していくことでしょう。
そのあとは!習慣化された形式知を超えて、 知恵を出し合い、常に改善と変化を続ける組織でいたいと願っております。
形式知を定着させた上での「あ・うんの呼吸」創造は、 きっとコアコンピタンス(他社にまねできない核となる競争力)となるに違いありません。